2006年 04月 16日
ウパチャラ
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水浴びをして体を清め、見苦しい服装を避けるためバティックを用意した。しかし、宿の人にウパチャラはどこで催されているか尋ねたが知らないという。とりあえずバイクの走っていた広い道にでてその流れを追いかけようとしたが、もうすでに正装した人々の姿はなくなり完全に行き場所を見失ってしまった。途方にくれかけた私にバイクタクシーの男が寄ってきて、わらにもすがる思いで彼に尋ねると彼は知っていた。彼のバイクに乗り、着いたそこはウブド南部のプリアタン地区にあるカラー集会場だった。
積み上げられた供え物の山々、ガムランの演奏、正装した人々の祈り、はしゃぎまわる子供たち。そばを走る車の排気音は完全に遮断され、私の五感は全てその儀式に向いていた。
午前の儀式が終わると、日本語を話せるガムラン奏者たちに囲まれ雑談を交えた後、近くの寺への参拝に私もついていった。
参拝後、一時解散となり、私は遅い昼食をとり、宿で一息つくと夕方過ぎに再びカラー集会場に向かった。夜のガムラン奏者たちは女性になっていた。しかし、その演奏の力強さは私の心に響き、なぜか涙がこみ上げてきた。演奏でこんなにも体が震えてきたのはいつ以来だろうか。
私は完全に感情をコントロールできなくなっていた。いや、私は日本での暮らしの中で感情を抑え続けていたのではないだろうか。私は今ここで本当に自分に自然体になれたのではないだろうか。
やがて集会場の外は雷をともなった激しい雨に見舞われ、私はすぐ隣の売店の軒先で雨のカーテン越しに儀式を見ていた。ガムランの演奏も、神聖なる人々の合唱も、踊りも、祈りも、供え物も、全ては神のため。そんな神への捧げ物を私にも分けていただいたことに、私も神に感謝。
by asiax
| 2006-04-16 20:25
| インドネシア(バリ島)