2009年 04月 24日
大蛇の樹
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長教古村落の川沿いを歩いていたときのこと。
石積みの堰の上に腰掛けた老人と目があうと、
「タイシャ」
と言いながら、杖を川の方に向けた。
うーん、なんだろう?竹筒の筏にのって投網をしている人のことをいってるのかな?と思って私は川のほうを指差すと、
「ちがう、お主のすぐそこじゃ、ほれ、それがタイシャじゃ。」
なんのことかさっぱり分からない私に、その老人はちょっと怒ったように
「わしは普通話(中国の標準語)で話しておるのに、なぜ分からんのじゃ。」
というような剣幕になり、私は困り果ててしまった。老人はあきらかに私を中国人だと思って話しているんだな、と思って
- あのー、僕、日本人なんですけど。 -
と言うと、老人は
「なんじゃ、そうじゃったのか。」
と納得したような表情になり、よっこらしょ、と腰を上げると、杖をつきながら私のほうに近づいてくる。
私より一段高いところに腰掛けていて、見上げる位置にいたその老人がゆっくり降りてくると、どんどん私の目線の下にくる。腰の曲がったその老人は、長い間の農作業でそうなったことが伺えた。
そして私のそばにくると、私の腕を軽く引っ張りながら一本の木の下で立ちどまった。そして杖を上にかざしながら
「これがタイシャじゃ。」
と言った。

- あー、タイシャ。なんだ、大蛇のことを言ってたんだ。 -
「ほれ、目があるのも分かるじゃろ。立派なタイシャじゃ。」
自分の両目を指差す老人のお茶目な姿が、ちょっと怖そうなその顔と釣り合わない。言葉の通じない私のために、ジェスチャーをまじえて伝えてくれたのだろう。
もし老人と出会わなければ、決して気付くこともなく、そのまま通り過ぎたであろう大蛇の樹。
あの老人がいる限り、大蛇の樹は大蛇の樹であり続けるであろう。
だから、おじいちゃん、いつまでもこの樹を見守って、これからもみんなに伝えていってください。
石積みの堰の上に腰掛けた老人と目があうと、
「タイシャ」
と言いながら、杖を川の方に向けた。
うーん、なんだろう?竹筒の筏にのって投網をしている人のことをいってるのかな?と思って私は川のほうを指差すと、
「ちがう、お主のすぐそこじゃ、ほれ、それがタイシャじゃ。」
なんのことかさっぱり分からない私に、その老人はちょっと怒ったように
「わしは普通話(中国の標準語)で話しておるのに、なぜ分からんのじゃ。」
というような剣幕になり、私は困り果ててしまった。老人はあきらかに私を中国人だと思って話しているんだな、と思って
- あのー、僕、日本人なんですけど。 -
と言うと、老人は
「なんじゃ、そうじゃったのか。」
と納得したような表情になり、よっこらしょ、と腰を上げると、杖をつきながら私のほうに近づいてくる。
私より一段高いところに腰掛けていて、見上げる位置にいたその老人がゆっくり降りてくると、どんどん私の目線の下にくる。腰の曲がったその老人は、長い間の農作業でそうなったことが伺えた。
そして私のそばにくると、私の腕を軽く引っ張りながら一本の木の下で立ちどまった。そして杖を上にかざしながら
「これがタイシャじゃ。」
と言った。

「ほれ、目があるのも分かるじゃろ。立派なタイシャじゃ。」
自分の両目を指差す老人のお茶目な姿が、ちょっと怖そうなその顔と釣り合わない。言葉の通じない私のために、ジェスチャーをまじえて伝えてくれたのだろう。
もし老人と出会わなければ、決して気付くこともなく、そのまま通り過ぎたであろう大蛇の樹。
あの老人がいる限り、大蛇の樹は大蛇の樹であり続けるであろう。

だから、おじいちゃん、いつまでもこの樹を見守って、これからもみんなに伝えていってください。
by asiax
| 2009-04-24 20:47
| 中国(福建省)










