2006年 03月 12日
サイゴン路地彷徨
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私がまだ小さい頃、ベトナムはアメリカと戦争をしていた。その戦争が終わったとき、学校の先生やマスコミ、大人たちはアメリカが負けたと言った。ベトナムが勝ったのではなく、アメリカがはじめて戦争で負けたのだということを強調するかのようにそう言った。
その戦争の悲惨な映像や写真は幼かった私の目にもたびたび入ってきた。それらはアメリカ側から撮影されたもので、とても残忍極まりないものだった。やがてアメリカが撒き散らした枯葉剤が原因と思われる奇形児がベトナム各地で生まれた。
本当にこの戦争でベトナムは勝ったのだろうか。当時の私にはどうしても理解できなかった。
やがてベトナムは共産主義として、当時の冷戦構造の中、ほとんど情報が入ってこなかった。私にとってのベトナムは、あのときの戦争時代の記憶をそのまま引きずっていた。私がベトナム行きをためらい続けた理由の一つがそれだった。
1年半前、仕事の休みをとってわずか4日ながらサイゴンに行った。私が泊まっていたブイヴィエン通りは虫食いのように路地が口をあけていた。その入り口に立ったとき、行き止まりかと思われた細い路地は家々をよけながら曲がりくねり、他の路地と交差し、ときに突き当たる。それは仕事で1年半をすごした金沢の風景と似ていた。城の周りの路地はやはり曲がりくねり、ときに突き当たった。それは戦の時代、進入してきた敵をかく乱するために整備し、太平洋戦争で空襲を免れたその町並みが今に残っているのだと地元の誰かが教えてくれた。
ベトナム人の日常生活の場がこんなに複雑なのだから、戦争時はベトナム全土が要塞と化していたのではないだろうか。
やはりベトナムは勝ったのだ。この国にきてそう思った。
その戦争の悲惨な映像や写真は幼かった私の目にもたびたび入ってきた。それらはアメリカ側から撮影されたもので、とても残忍極まりないものだった。やがてアメリカが撒き散らした枯葉剤が原因と思われる奇形児がベトナム各地で生まれた。
本当にこの戦争でベトナムは勝ったのだろうか。当時の私にはどうしても理解できなかった。
やがてベトナムは共産主義として、当時の冷戦構造の中、ほとんど情報が入ってこなかった。私にとってのベトナムは、あのときの戦争時代の記憶をそのまま引きずっていた。私がベトナム行きをためらい続けた理由の一つがそれだった。
1年半前、仕事の休みをとってわずか4日ながらサイゴンに行った。私が泊まっていたブイヴィエン通りは虫食いのように路地が口をあけていた。その入り口に立ったとき、行き止まりかと思われた細い路地は家々をよけながら曲がりくねり、他の路地と交差し、ときに突き当たる。それは仕事で1年半をすごした金沢の風景と似ていた。城の周りの路地はやはり曲がりくねり、ときに突き当たった。それは戦の時代、進入してきた敵をかく乱するために整備し、太平洋戦争で空襲を免れたその町並みが今に残っているのだと地元の誰かが教えてくれた。
ベトナム人の日常生活の場がこんなに複雑なのだから、戦争時はベトナム全土が要塞と化していたのではないだろうか。
やはりベトナムは勝ったのだ。この国にきてそう思った。
by asiax
| 2006-03-12 14:56
| ベトナム