2011年 06月 05日
肇興へ
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11時過ぎ、三江のバスターミナルで肇興(ザオシン)を経由する黎平行きバスに乗り込むと、出発まであと20分以上はあるのというに、すでにほとんどの席が埋まっていた。
何とか後ろのほうの通路側の席を確保して一息つくと、これからどんな風景が待っているのだろうという期待と、自分はどこへ行ってしまうのかという不安が、頭の中で何度となく交差した。
11時半に出発し、三江の町を離れしばらくすると、小さな集落が現れ、木造の伝統家屋に藍の民族衣装、そして独特な髪型をした女性の姿が、車窓から通り過ぎていった。
やがて大きな川を左手に見ながら、しばらく川沿いに走っていく。
途中川の対岸に小さな町があらわれ、手漕ぎの小さな舟が川を横断するのが見下ろせた。
川沿いの斜面を走るため道幅は狭く、蛇行を繰り返すものの、素朴な風景を楽しみながら着実に肇興に向けて進んでいることが実感できた。
だが、そんなに甘くはなかった。
走り始めて2時間ほどだろうか。道路工事で道幅が狭いところに私たちの進むほうの車と反対側からくる車で詰まってしまい、そこにまた後続の車がどんどんやってきてしまって身動きがとれなくなってしまったのだ。
そこでなにもできず、いたずらに時間だけが過ぎていく。隣の席に座っているおじさんは道路工事の人たち向けに物売りをしている人からカップ麺をうけとり、ずるずる音を立てながら食べていた。
それを横目に見ながら、
- あ~、このバスはこのままここで夜を明かしてしまうのだろうか -
という、そんな不安に駆られてしまった。
1時間以上過ぎた頃だろうか、我々の進路の車がゆっくりとバックし、それぞれが路側帯ギリギリの場所に移動して、やっと反対側の車がどんどん流れていった。
おそらく100台以上は通り過ぎただろうか、30分以上待ってようやく我々の進路の車が動きはじめた。
富禄という町でバスは川沿いの道から右に進路を変え、大きな風雨橋で有名な地坪を通過し、15時ごろに龍額という町に着くと、ここで隣の席のおじさんを含め、多くの人が下車した。
時間的にも距離的にも、これで肇興はもうすぐだろうと思った。
だが、やはり甘くはなかった。
バスはヘアピンカーブを繰り返しながらどんどん山をのぼりはじめたのだ。道沿いには休閑期の棚田の所々に黄色い菜の花が咲いている。
いったいこのバスはどこへ向かうのだろうか。それより何より、肇興はどんな町なのだろうか。
この棚田の美しい風景さえも、もはや私は楽しめなくなっていた。
やがて道路の最高地点に達すると、やはりヘアピンカーブを繰り返しながらどんどん山を下りはじめると、バスの進む先の麓のほうに町が見えてきた。
そこが肇興で間違いないとすぐに確信できたのは、その町の色だった。
町全体がくすんでいるのだ。それは町が近づくほどにはっきりと見えてきた。どの家も木造で、屋根が瓦で覆われている。コンクリート打付けのビルや、新築のけばけばしい家屋が一切存在しないのだ。
町中に入ると、道の両側に伝統家屋が立ち並び、バスを降りた目の前には鼓楼、そして風雨橋が目の前に見える。
まるでタイムマシーンに乗ってやってきたような、そんな町だと思った。
何とか後ろのほうの通路側の席を確保して一息つくと、これからどんな風景が待っているのだろうという期待と、自分はどこへ行ってしまうのかという不安が、頭の中で何度となく交差した。
11時半に出発し、三江の町を離れしばらくすると、小さな集落が現れ、木造の伝統家屋に藍の民族衣装、そして独特な髪型をした女性の姿が、車窓から通り過ぎていった。
やがて大きな川を左手に見ながら、しばらく川沿いに走っていく。
川沿いの斜面を走るため道幅は狭く、蛇行を繰り返すものの、素朴な風景を楽しみながら着実に肇興に向けて進んでいることが実感できた。
だが、そんなに甘くはなかった。
走り始めて2時間ほどだろうか。道路工事で道幅が狭いところに私たちの進むほうの車と反対側からくる車で詰まってしまい、そこにまた後続の車がどんどんやってきてしまって身動きがとれなくなってしまったのだ。
そこでなにもできず、いたずらに時間だけが過ぎていく。隣の席に座っているおじさんは道路工事の人たち向けに物売りをしている人からカップ麺をうけとり、ずるずる音を立てながら食べていた。
- あ~、このバスはこのままここで夜を明かしてしまうのだろうか -
という、そんな不安に駆られてしまった。
1時間以上過ぎた頃だろうか、我々の進路の車がゆっくりとバックし、それぞれが路側帯ギリギリの場所に移動して、やっと反対側の車がどんどん流れていった。
おそらく100台以上は通り過ぎただろうか、30分以上待ってようやく我々の進路の車が動きはじめた。
富禄という町でバスは川沿いの道から右に進路を変え、大きな風雨橋で有名な地坪を通過し、15時ごろに龍額という町に着くと、ここで隣の席のおじさんを含め、多くの人が下車した。
時間的にも距離的にも、これで肇興はもうすぐだろうと思った。
だが、やはり甘くはなかった。
バスはヘアピンカーブを繰り返しながらどんどん山をのぼりはじめたのだ。道沿いには休閑期の棚田の所々に黄色い菜の花が咲いている。
いったいこのバスはどこへ向かうのだろうか。それより何より、肇興はどんな町なのだろうか。
この棚田の美しい風景さえも、もはや私は楽しめなくなっていた。
やがて道路の最高地点に達すると、やはりヘアピンカーブを繰り返しながらどんどん山を下りはじめると、バスの進む先の麓のほうに町が見えてきた。
そこが肇興で間違いないとすぐに確信できたのは、その町の色だった。
町中に入ると、道の両側に伝統家屋が立ち並び、バスを降りた目の前には鼓楼、そして風雨橋が目の前に見える。
by asiax
| 2011-06-05 16:31
| 中国(貴州省)