2006年 05月 18日
サイゴンの雨
|
雨季も終わりに近づいた9月の半ば、ベトナム、サイゴンの町は激しい雨に見舞われた。その雨が、いくつもの出会いをつくってくれた。 ブイビエン通り
その日昼過ぎにベトナム入国後、市内バスでブイビエン通りに向かい、宿を確保するとすぐに帰り便のリコンファームのため散歩がてらベトナム航空のオフィスへ向かった。
夕方、旧市場を散策しているとカメラの光量が足りないことに気づいた。雲行きがあやしくなり、日暮れとは違う暗緑色と濃灰色が混じったような空色だった。パスター通りで大粒の雨が降り始め、私は店の軒先に入り雨がやむのを待った。
雨粒は音をたてながら激しくアスファルトをたたく。これだけの雨ならすぐにやむだろう、と今までのアジアのたびでであったスコールのことを考えていた。
しかし、30分以上たっても雨はやむどころか更に激しさをまし、稲妻がいくたびか地上に突き刺さるのが見えた。車道側面にある排水口は処理が追いつかなくなり、目の前の車道が水で満たされていくのが、通りかかる車やバイクの撥ねる水しぶきでよく分かる。
軒先にいる私とて、風に流された雨粒や歩道にたたきつける雨粒が跳ね、私の体を濡らす。
足元にゴキブリが近づいてきた。おそらく排水溝が水で満たされて驚いてでてきたのだろう。私はそいつをチョイとよけた。かれこれ1時間以上、そうして雨がやむのを待っていた。
時々、店の女の子たちが入り口付近で外の様子を眺めていた。雷が鳴ると「キャッ」といって肩をすぼめながら私の顔を見て照れくさそうに微笑んだ。女の子たちは雨を心配しているのだとはじめのうちは思っていたが、その顔をだす頻度が増し、なんとなく視線を感じはじめた。やがて店の入り口付近に椅子が置かれるのを見て、雨を心配しているのではなく、私のことを心配しているのだという予感が確信にかわった。
あの瞬間、あの場所で雨が降らなければ立ち寄るはずもなかった、そんな偶然の出来事がベトナムでの一番の思いで。
道路が冠水しても店は営業し、人々は食べる ブイビエン通り 非日常の中の日常 ブイビエン通り
その日昼過ぎにベトナム入国後、市内バスでブイビエン通りに向かい、宿を確保するとすぐに帰り便のリコンファームのため散歩がてらベトナム航空のオフィスへ向かった。
夕方、旧市場を散策しているとカメラの光量が足りないことに気づいた。雲行きがあやしくなり、日暮れとは違う暗緑色と濃灰色が混じったような空色だった。パスター通りで大粒の雨が降り始め、私は店の軒先に入り雨がやむのを待った。
雨粒は音をたてながら激しくアスファルトをたたく。これだけの雨ならすぐにやむだろう、と今までのアジアのたびでであったスコールのことを考えていた。
しかし、30分以上たっても雨はやむどころか更に激しさをまし、稲妻がいくたびか地上に突き刺さるのが見えた。車道側面にある排水口は処理が追いつかなくなり、目の前の車道が水で満たされていくのが、通りかかる車やバイクの撥ねる水しぶきでよく分かる。
軒先にいる私とて、風に流された雨粒や歩道にたたきつける雨粒が跳ね、私の体を濡らす。
足元にゴキブリが近づいてきた。おそらく排水溝が水で満たされて驚いてでてきたのだろう。私はそいつをチョイとよけた。かれこれ1時間以上、そうして雨がやむのを待っていた。
時々、店の女の子たちが入り口付近で外の様子を眺めていた。雷が鳴ると「キャッ」といって肩をすぼめながら私の顔を見て照れくさそうに微笑んだ。女の子たちは雨を心配しているのだとはじめのうちは思っていたが、その顔をだす頻度が増し、なんとなく視線を感じはじめた。やがて店の入り口付近に椅子が置かれるのを見て、雨を心配しているのではなく、私のことを心配しているのだという予感が確信にかわった。
あの瞬間、あの場所で雨が降らなければ立ち寄るはずもなかった、そんな偶然の出来事がベトナムでの一番の思いで。
by asiax
| 2006-05-18 21:36
| ベトナム