2007年 04月 22日
カントー行きバス~後悔編~
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サイゴンからベトナム南部、カントーへの移動。私は現地の人たちとできるだけ近いところにいたい、そんな思いでツーリストバスを使わず、ベンタイン市場から2番の市内バスでミエンタイバスターミナル(3000ドン)に向かい、カントー行きのローカルバス(44000ドン)のチケットを購入した。
10時半に乗車してからというもの、バスはなかなか出発する気配がなかった。何度となく同じ物売りが私のところにやってきて水を買わないか、と寄ってくる。まだ慣れないベトナムの移動、荷物が心配でその場を離れられず、一度荷物を抱えてバスを降り、フランスパン(2000ドン)を買ってバスに戻った。
1時間経っても動きだす気配がない。左側の窓際の席についた私に太陽が容赦なく私の肌をつきさす。空腹しのぎに齧るスカスカのフランスパンのミミが、私のズボンの上にボロボロと崩れ落ちる。
12時前になり、ようやく席が埋まりはじめたが、2人掛けの席の私の隣だけがなぜか誰も座ろうとしない。
やがて私の隣も人が座って、12時過ぎ、ようやくバスは出発した。
外の景色は単調そのものだったが、メコンデルタの枝分かれした小さな川を通りすぎるときに見かけるボートや川沿いの水上家屋が現れる頻度が増すたびに、カントーの町が近づいていることを実感させてくれた。
やがて、ヴィンロン手前のメコン川前江を渡る大きな橋を通りすぎ、しばらく走ったところでバスはドライブインに立ち寄った。みんなの後を追うようにバスを降りると、一人の若い女性がベトナム語で声をかけてきた。
言葉は分からなくてもその状況から彼女が伝えようとしていたことは分かってはいた。でもまだベトナムという国への不安感を払拭できずにいた私は静かにその場を離れていった。
私はこの国でバインバオと呼ばれる肉まん(8000ドン)を買ってバスに戻り出発を待った。やがてさっきの彼女もバスに戻り前方の席についた。時々振り返る彼女と目が合うたび、私たちはお互い目配せを繰り返した。申し訳ないことしたなあ、という思いと、出会いのきっかけを自ら潰してしまったことを悔やんだ。
バスは出発すると、それからは外の景色より、時々振り返る彼女の視線だけを追いかけていた。
やがてバスはカントーバスターミナルに到着し、彼女はバイバイと言いながら手を振って降りていった。
宿に着いて自分の腕を見てみると、左腕だけがやけに赤く焼けていた。
2007年4月のレート 1円=130ドン
10時半に乗車してからというもの、バスはなかなか出発する気配がなかった。何度となく同じ物売りが私のところにやってきて水を買わないか、と寄ってくる。まだ慣れないベトナムの移動、荷物が心配でその場を離れられず、一度荷物を抱えてバスを降り、フランスパン(2000ドン)を買ってバスに戻った。
1時間経っても動きだす気配がない。左側の窓際の席についた私に太陽が容赦なく私の肌をつきさす。空腹しのぎに齧るスカスカのフランスパンのミミが、私のズボンの上にボロボロと崩れ落ちる。
12時前になり、ようやく席が埋まりはじめたが、2人掛けの席の私の隣だけがなぜか誰も座ろうとしない。
やがて私の隣も人が座って、12時過ぎ、ようやくバスは出発した。
外の景色は単調そのものだったが、メコンデルタの枝分かれした小さな川を通りすぎるときに見かけるボートや川沿いの水上家屋が現れる頻度が増すたびに、カントーの町が近づいていることを実感させてくれた。
やがて、ヴィンロン手前のメコン川前江を渡る大きな橋を通りすぎ、しばらく走ったところでバスはドライブインに立ち寄った。みんなの後を追うようにバスを降りると、一人の若い女性がベトナム語で声をかけてきた。
言葉は分からなくてもその状況から彼女が伝えようとしていたことは分かってはいた。でもまだベトナムという国への不安感を払拭できずにいた私は静かにその場を離れていった。
私はこの国でバインバオと呼ばれる肉まん(8000ドン)を買ってバスに戻り出発を待った。やがてさっきの彼女もバスに戻り前方の席についた。時々振り返る彼女と目が合うたび、私たちはお互い目配せを繰り返した。申し訳ないことしたなあ、という思いと、出会いのきっかけを自ら潰してしまったことを悔やんだ。
バスは出発すると、それからは外の景色より、時々振り返る彼女の視線だけを追いかけていた。
やがてバスはカントーバスターミナルに到着し、彼女はバイバイと言いながら手を振って降りていった。
宿に着いて自分の腕を見てみると、左腕だけがやけに赤く焼けていた。
2007年4月のレート 1円=130ドン
by asiax
| 2007-04-22 21:48
| ベトナム