2006年 02月 19日
チェンマイ行き夜行列車
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「洪水だ、バスはやめたほうがいい、鉄道にしなさい。」
チェンマイ行きのバスチケットを要求した私に、ツーリストオフィスのスタッフが言った。鉄道のたびもいいかもしれない。そんな気がした。
ファランポン駅、照明をいっぱい浴びたふるさと行きの車両がいくつも並んでいた。大きな荷物を運ぶ人々がホームを歩く光景は、かつての上野駅を思いださせた。
出発の時間、お別れの儀式がはじまる。私の車両には日本人の子が乗車していた。旅の途中でであった日本人だろうか、見送りにきた2人は、なかなか加速しない列車を、ホームが終わる近くまで手を振りながら追い続けた。
まもなく車内ではベッドが用意され、私は下段に横になる。ガタンゴトンと繰り返し続く振動がゆりかごのように眠気を誘った。
時おり列車が大きくはずんだり、何かを噛み砕く激しい音を立てたりするたび、私は目覚めた。そのたびに大きな窓から見える星空がどこまでも追い続けていた。窓から入ってくる風が少しずつ冷たくなってきた。列車は確かに北へ向かっているのだな、と思った。
激しく車両をたたきつける音で、また目が覚めた。乗務員と話をしている男の激しい声が窓から入ってきた。
朝が近づき、窓の外が少しずつオレンジ色に変える。日が昇り、私のベッドに光が注がれると、シーツに虫がこびりついていた。
タイ、ファランポン駅の写真
by asiax
| 2006-02-19 09:50
| タイ